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[児童虐待最多] 専門人材の確保を急げ(2020年2月19日配信『南日本新聞』-「社説」)

 全国の警察が昨年1年間に摘発した児童虐待事件は過去最多に上ったことが、警察庁のまとめた2019年犯罪情勢(暫定値)で分かった。虐待と密接な関係にあるとされるドメスティックバイオレンス(DV)の相談、検挙件数も最多を更新した。

 「平成の刑事政策」を特集した法務省の19年版「犯罪白書」でも、多くの犯罪が減少傾向にある中で、児童虐待とDVの検挙が増えていると報告されている。

 虐待を早期発見、防止するための法整備は進んでいる。政府は悲惨な事件が起きる度に、子どもの安全確認や児童相談所(児相)の強化など緊急対策を打ち出してきた。しかし、事件は依然後を絶たない。

 国や自治体の検証では、児相や警察、自治体など関係機関の連携不足や児相の判断ミスが繰り返し指摘される。子どもの安全確保を最優先するという基本がなおざりになってはいないか。専門人材の育成と確保をはじめ、体制の充実が急がれる。

 00年に児童虐待防止法が成立した。同法は児童福祉法とともに改正が重ねられ、04年に国民の通報義務拡大、07年に児相が強制的に家庭に立ち入り調査できる臨検制度創設といった対策が取られた。昨年6月には親による体罰禁止の規定を設け、今年4月から施行される。

 白書によると、児童虐待を巡る検挙件数は14年から急増した。19年犯罪情勢では1957件を記録し、10年前の5倍を超した。内訳は身体的虐待1629件、性的虐待243件、心理的虐待50件、怠慢・拒否35件だった。

 通報義務の拡大などで、家庭の外からは見えにくかった虐待が「犯罪」と認識されるようになったことも大きいが、見過ごせない増加ぶりである。

 DV検挙件数も虐待同様に増えている。19年は9083件を記録し、10年間で3.8倍になった。DVの加害者は内縁関係も含めて子どもを虐待する例が多く、配偶者が恐怖心などから虐待に加担するケースもある。きめ細かな目配りが欠かせない。

 こうした中、全国の児相が18年度に対応した虐待の相談は厚生労働省の調べで15万9850件と5年前から倍増、業務は増加の一途をたどる。

 子どもたちの命を守るとりでが、精神的に重い案件を抱える上、長時間勤務の「ブラックな職場」であってはならない。職員が長く働け、経験を生かせる環境づくりが急務だ。

 政府は児童福祉司ら専門人材を大幅に増やす方針で、鹿児島県も20年度予算案に組み込んだ。だが、育成や経験を積むには一定の時間もかかるだろう。国民も虐待を社会全体の問題として理解し、関係者を支えていく覚悟が求められる。




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Author:gogotamu2019
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