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70歳雇用の改正法案 安心できる環境作れるか(2020年2月20日配信『毎日新聞』-「社説」)

 70歳までの雇用確保を企業に求める高年齢者雇用安定法などの改正案が、今国会に提出された。雇用確保の対象を65歳から引き上げる。

 少子化の進行で、将来にわたる人手不足が懸念されている。企業の努力義務にとどめたものの、65歳以上の高齢者も働き手となってもらうことが政府の狙いだ。

 高齢者の働く意欲は高まっており、雇用環境の整備は理解できる。ただ、今の制度が抱える問題を解決することが先決だ。

 現在の雇用確保策は、企業に定年延長か定年後の継続雇用制度の導入、定年廃止のいずれかの対応を義務づけている。多くの企業が設けているのが継続雇用制度で、賃金が下がるのが一般的だ。

 労働者側が「仕事内容は変わらないのに賃金を下げるのは不当だ」と訴えて、裁判になったケースもある。最高裁が基本給などの格差を認める一方、一部手当の格差を不合理とする判決を出した。

 今年4月からは、まず大企業に同一労働同一賃金の実現が義務づけられるようにもなる。適正な賃金を定めずに70歳まで雇用すれば、問題は拡大する。

 改正案ではこれに加え、起業やフリーランスを希望する人への業務委託や社会貢献活動に従事できる就業制度も選択肢とした。こうしたケースでは、企業との雇用関係がなくなり労働者の立場が弱くなる。

 どのような委託契約をするのか、あらかじめ企業が示して労使で合意することが肝心だ。労働組合がなければ、会社と対等に協議することが難しくなるだろう。企業は労働者側の意見を丁寧に聞くべきだ。

 安全に働くための配慮も欠かせない。厚生労働省の有識者会議は、高齢者は転倒や転落などの労災発生率が高くなると指摘している。一方で、高齢者の労災防止に取り組む企業は全体の半数程度にとどまる。対策を広めることが必要だ。

 国や民間の調査では、働く理由の上位に「生活費を得たい」が挙がる。背景には、将来の生活への不安があるだろう。

 国は企業任せにしてはならない。指針や中小企業への助成制度を十分に整えて、高齢者が安全、安心に働けるようにすべきだ。




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Author:gogotamu2019
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