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教員間暴力/教育現場は真摯に反省を(2020年2月22日配信『神戸新聞』-「社説」)

 神戸市立東須磨小学校で起きた教員間の暴行・暴言問題できのう、調査結果が公表された。市教育委員会が設けた弁護士らの外部調査委員会が、聞き取りを重ねてきた。

 浮かび上がったのは、幼稚で卑劣なハラスメントが執拗(しつよう)に繰り返され、それを改善するどころか助長させた職員室の異様な雰囲気である。これが教育現場なのかと、改めて強い憤りを感じる。

 30~40代の男女4人の教員による加害行為は、休職に追い込まれた男性を含め20代の同僚4人に及んでいた。前校長のどう喝的な言動もハラスメントとして認定した。

 日常的に汚い言葉が飛び交う、激辛のカレーやラーメンを無理強いする、スマホで女性教員にわいせつな文言を送らせる、児童の前で腹や尻を蹴る-。

 これらはごく一部だ。児童も間接的な被害者といえる。知れば知るほど暗然とした気持ちになる。事実を直視し、厳正な処分と再発防止に全力を挙げ、地に落ちた教育への信頼を回復しなければならない。

 学校でリーダー的な存在だったとされる加害教員もいる。職場での「発言力」をはき違え、若手への行為をエスカレートさせた。規範意識の低さは言語道断である。

 学校側の責任も極めて重い。

 調査委は「加害者側の個人的な資質によるところが大きいが、小学校の歴代管理職の対応にも原因がある」と断じた。暴言が認定された前校長は非難を免れないが、前々校長と現校長も加害行為に気づかないか、気づいても指導力を発揮できなかった。猛省を求めたい。

 市教委のハラスメント防止の取り組みもおそまつと言わざるを得ない。体系的な研修がないばかりか、内部通報や相談窓口もほとんど機能せず問題を放置する結果となった。

 調査委の指摘を受けるまでもなく、ハラスメントや人権に関する研修や外部の相談窓口の設置は不可欠だ。市教委は実効ある体制を速やかに整える必要がある。

 調査委は、多忙化や若い教員の比率が高いいびつな職場構成が、「自分のことで手一杯」と問題を傍観する風潮を生んだと指摘した。

 適正な人員配置や業務の見直しとともに、学校運営への支援体制も求められよう。現場が声を上げにくくなるような管理強化に陥っては本末転倒だ。市教委は風通しの良い組織づくりに本気で取り組んでほしい。

 何より、神戸市の教育現場が「わがこと」として真摯(しんし)に反省し、暴力や暴言を許さない、との決意を共有せねばならない。それを抜きに、いじめ防止や命の大切さを子どもに教えることはできない。



読むのもつらい(2020年2月22日配信『神戸新聞』-「正平調」)

 さわやかな一文だった。昨秋の本紙発言面に載った男子高校生、18歳の投稿である。題して「恩師への感謝状」

◆幼い頃に両親が離婚し、寂しくて仕方なかったそうだ。小学6年生のとき、1人の教師が赴任してきた。甘えたい、と思わせる雰囲気で、思い切って話しかけてみた。すると「太陽のような笑顔」で「やさしく包み込んでくれた」。それから何でも相談できるようになったという

◆神戸市内の小学校で起きた教師間の暴行・暴言問題で、弁護士による外部調査委員会が報告書を公表した。125も挙げられた事例を読みながら、ため息をつき、しばし目を閉じてしまう。これは読むのもつらい

◆気になるのは、子どもたちの心だ。「友だちを大事に」と言うべき教師が教師を傷つけた。誰を信じたらいいの? と悩む子もいるだろう。あの高校生が救われたような包み込むやさしさが今、教室に欲しい

◆有島武郎(たけお)の懐かしい童話に「一房の葡萄(ぶどう)」がある。いけないことをしてしまった子がいた。諭した教師は校内のブドウをもぎり、その子の膝に置く。明日も学校へ、と。ためらいながら翌日もその子が登校したのは「先生のやさしい目で見られたい」から

◆揺れている子がいたらほほえみを。やさしさという一房を子らへ。




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