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避難所の改善 安心できる環境が大切だ(2020年2月24日配信『山陽新聞』-「社説」)

 災害発生時に被災者が身を寄せ、場合によっては長期的な生活拠点になる避難所をめぐり、その在り方が課題になっている。

 共同通信社が行った全国自治体アンケートでは、市区町村の95%が改善が必要と答えた。対応が急がれる項目を三つまで選んでもらうと、「カーテンやテントなどによるプライバシーの確保」が54%、「段ボールベッドや簡易ベッド」43%、「仮設トイレ」40%、「冷暖房」32%の順で多かった。

 岡山県内も同様の状況で、6割超がプライバシー確保を問題視し、関連して「更衣室や授乳室設置」を挙げたところもあった。2番目に多かった「洋式トイレ配備、増備」は、西日本豪雨で被災した倉敷、総社、高梁の3市が共通して挙げていた。施設などの和式トイレは高齢者や体の不自由な人には使いづらく、バリアフリーへの配慮も浮き彫りになった。

 災害大国の日本では、いつどこの地域が地震や津波、台風などの風水害に襲われるか分からない。地球温暖化などを背景に被害は頻発・激甚・広域化している。ただ依然として、避難所で被災者が毛布にくるまり、雑魚寝する光景がなくならない。広い体育館などは寒さ、暑さの対応への遅れも指摘される。

 せっかく避難しても劣悪な環境が関連死や心身の疲れ、健康被害につながっては元も子もない。平成以降で避難生活中に亡くなり関連死と認められた人は約5千人はいるとされる。安心で快適な空間の実現に知恵を絞ることが求められよう。

 避難所・避難生活学会が重要視するのは「TKB」だ。トイレ、キッチン、ベッドの頭文字で、衛生的で十分な数のトイレと温かい食事、ベッドでの寝起きが大切とする。

 特にトイレは衛生面の不安や使い勝手の悪さがあると、被災者が何度も行かなくてすむよう水分や食事を控え、脱水症状やエコノミークラス症候群を発症する恐れがある。

 また段ボールベッドはクッション性があり、床から数十センチの高さがほこりやウイルスを避けられ、寒さ対策にもなる。徐々に周知が進んでいるが、さらに備蓄や供給の態勢を整えていきたい。

 ただいざという時、一つの市区町村で全てに対応するのは限度があろう。小さな自治体ほど職員の少なさや運営ノウハウの不足なども課題とされてきた。

 民間ボランティア団体や専門機関との協力をはじめ、自治体同士の広域連携などで、物資や人材の支援を迅速に行えるネットワーク構築が必要だ。国や都道府県の支援と調整も極めて重要になる。

 体の弱い高齢者や障害者、女性や乳幼児、LGBTなど性的少数者、外国人らに配慮する工夫も十分でない。各地の災害対応から教訓を学び取り、誰も取り残さないよう、着実に改善を重ねたい。




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Author:gogotamu2019
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