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うるう日(2020年2月29日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

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「兵に告ぐ。勅命が発せられたのである」。早朝、反乱兵たちに原隊帰還を呼びかけるラジオ放送が流れ、二・二六事件が鎮圧されたのは、1936年(昭和11年)2月29日のことだ

▼4年に1度しか巡ってこない「うるう日」だが、案外、歴史的な出来事が起きてきた。国の重要文化財である日銀本店が完成したのも二・二六事件から40年さかのぼった1896年(明治29年)のこの日だった

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▼設計したのは、東京駅赤れんが駅舎など数多くの傑作を残した明治・大正期の建築家辰野金吾(1854~1919)である

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▼辰野の功績は、この近代西洋建築に耐震設計の思想を取り入れたことだ。91年(明治24年)に起きた濃尾地震を教訓に、壁全部を石造りにする当初の設計を見直し、内側にれんがを使って軽量化する改良を加えた(河上真理、清水重敦著「辰野金吾」)

▼壁体の重量を軽減し、基礎を強化するという発想は素朴だが、関東大震災でも倒壊せず、今なお完成時のままの姿を保っていられるのは、辰野の先見性のおかげだろう

▼それに引き換え、現在の建物の主の見通しは7年間、狂ったままのようだ。「必要ならちゅうちょなく金融緩和を追加する」。新型肺炎拡大への対応を問われた黒田東彦総裁の国会答弁だ。すでにマイナス金利まで導入しながら景気後退したら、日銀に打つ手などないと、国民はとうに気付いているのだが。



「うるう年」(2020年2月29日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

4年ごとに2月の終わりが1日増える「うるう年」は、日本では明治5年、大隈重信が中心となって太陽暦を導入したことに始まる。1年はそれまでの太陰暦より11日ほど長くなった。〈一年三百六十五日、逢(あ)ふ日ふやした新(にい)暦(ごよみ)〉。当時、世間の混乱をよそに、相愛の男女は「逢瀬(おうせ)が増えた」と喜んだという

◆新型コロナウイルスの感染が広がるなかで、学年末の休みが増えた子どもたちは、複雑な気持ちに違いない。全国すべての小中学校などの一斉休校を要請する、と安倍首相が打ち出した方針を受け、県内では3日から15日まで休校にするという。学校現場や家庭、地域に与える影響に心を砕いた判断だろう

◆唐突すぎる政府のこうした対策は、かえって不安や混乱を広げかねない。近所のスーパーでは、マスク増産による紙不足のうわさから、トイレットペーパーやティッシュを買い求める人が相次いだ。いま、この国を覆っているのはパンデミック(感染爆発)ではなく、情報が不安をあおる「インフォデミック」である

◆「うるう」を漢字でかけば「閏」。むかし中国で王が門の中に閉じこもり、政務を休んで静養したさまを表す。同じように巣ごもりしながら、ここ1、2週間が瀬戸際という感染症との闘いを見守るほかない

◆不安な日々がこれ以上、暦に増えないことを願いながら。



うるう日の誕生日(2020年2月29日配信『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 「誕生日は4年に1回」と笑う知人がいる。2月29日、つまり、うるう日が誕生日。漁港で大きな魚を仕入れ、友人らを集めて盛大にパーティーを開く計画を話していたが、今日はやはり控えるのだろうか。

 先の3連休、綾町の雛(ひな)山まつりに出かけた。関連行事は縮小したが、日和に恵まれて人出はまずまず。店員らはみなマスクを着けている。飛び込んだラーメン店に河野知事がいたのには驚いた。昨今の過度な自粛ムードを率先して払拭(ふっしょく)する意図があったのだろう。

 とはいえその後の数日間で、さらに緊迫した空気感に変わった。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、安倍首相が26日に全国的なスポーツや文化イベントの自粛を要請。さらに次の日、全国の小中学校、高校や特別支援学校を臨時休校にする要請をしたためだ。

 理解できる面があるとはいえ、入試や卒業式を控えて突然判断を任せられた教育委員会や現場の混乱は察するに余りある。SNSで感染や予防法に関し誤った情報が流布していることも、児童生徒や保護者の動揺に拍車を掛けているようだ。休校を決めても、学校は常時正確な情報を家庭に伝えたい。

 ちなみにうるう日生まれの人も、誕生日が4年に1回というわけではない。「年齢計算ニ関スル法律」などの規定で誕生日に対応する日がない時は前日を誕生日にすると決まっている。例年より1日多い2月。3月からの対処をじっくり考える好機にしよう。




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Author:gogotamu2019
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