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車いすバスケに警告 パラ参加閉ざさぬ対応に(2020年3月1日配信『毎日新聞』-「社説」)

 開幕まで半年を切った東京パラリンピックで、車いすバスケットボールが大会からの除外警告を受けた。

 国際パラリンピック委員会(IPC)は、大会の参加基準に適さない障害の軽い選手が車いすバスケットに出場していると問題視している。このため、5月29日までに改善されなければ、除外すると通達した。

 IPCが定めた参加選手の障害基準は▽筋力低下▽四肢欠損▽脳障害から生じる運動失調▽視覚障害▽知的障害――など10種類だ。各競技団体は、これに沿って障害に応じた「クラス分け」を設定している。

 1チーム5人で争う車いすバスケットは、選手の持ち点を0・5点刻みに決めている。最も障害が重い選手を1・0点、最も軽い選手を4・5点とし、5人の合計が14点以内でなければチームを組めない。

 IPCはその中の障害の軽いクラスに、関節炎など健常者に近い選手が含まれているとみている。

 競技団体側にはもともと、障害の軽い選手が迫力あるプレーを見せて試合の魅力が増せば、競技の一層の普及に役立つという考え方がある。加えて、大会間近になって、参加を「人質」に見直しを迫るIPCの手法も強引といえる。

 だが、そこまでしてIPCが守ろうとしているのは、障害者スポーツの公平性だ。参加基準はその根幹をなし、他競技は順守している。

 2000年シドニー大会では、バスケット男子の知的障害クラスで優勝したスペイン選手の大半が健常者だったことが判明し、金メダル返上となった。障害の「偽装」はドーピングにも匹敵する不正だ。

 04年アテネ、08年北京大会では知的障害者の全競技がパラリンピックから除外された。今も陸上、競泳、卓球以外は認められていない。

 車いすバスケットは、パラリンピックの花形競技でもある。最高の舞台を前に選手に犠牲を強いてはならない。国際車いすバスケットボール連盟は参加の道を閉ざさないよう、クラス分けの規定変更などで対応を示すべきだ。

 オリンピックと並ぶ巨大イベントに成長し、人気競技がビジネスにもつながる時代だ。車いすバスケットだけの問題ではなく、パラリンピックの本質を考える機会でもある。




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Author:gogotamu2019
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