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神戸の教員暴力報告書 許す温床、社会にないか(2020年3月1日配信『中国新聞』-「社説」)

 神戸市立小学校の教員4人が同僚にパワハラやセクハラを繰り返していた問題で、弁護士による調査委員会が報告書を公表した。激辛カレーを食べさせるといった計125項目にも上る暴行や暴言など嫌がらせ行為があったと認定した。

 これが教育現場かと、目を疑わせる実態に改めて言葉を失う。加害教員の意識や行為は子どもの「いじめ」と同一構造だと、報告書は断じてもいる。

 市教委は関係者を処分し、学校巡回を増やすなどして教育現場の改善を図る方針というが、簡単ではあるまい。報告書は、職員室の雰囲気や風土、市教委の落ち度など、構造的な問題にも踏み込んでいるからだ。

 個々の意識はもとより、組織の構造や体質といった根本から市教委は改める必要がある。それはまた、この学校や神戸市教委に限らないのではないか。

 「くず」「死ね」など暴言を日常的に吐く、プールに放り込む、金づちで指を打つ…。加害教員らのハラスメントはいじめというより、暴力や暴行など犯罪要件に相当するような行為もあったと報告書は指摘する。

 その原因については、何より加害教員がいじめ防止対策推進法を正確に理解せず、認識が甘いなど、「個人的な資質によるところが大きい」とした。

 加害の事実に周りが気付かず、被害者が苦痛を我慢し、隠したまま関係性を続ける―。「いじめ」の構造と変わりはしない。いじめが当事者の心身をどれほど傷つけるかを子どもたちに諭し、指導するのが教員の責務ではないか。

 とはいえ原因が加害教員にあったと、簡単に済ませるわけにはいかない。これほど長期にわたる、あからさまなハラスメントをなぜ止められなかったのか。報告書は、もう一つの原因として歴代管理職らの対応や市教委の姿勢を挙げている。

 前校長は日頃からパワハラ的な言動が目立ち、ハラスメント2件が認定された。教員の問題点を挙げて弁明するなど自己防衛意識が強く、「管理職のありようとして強い非難に値する」と報告書は指弾する。

 その前の校長はハラスメント自体に気付いていなかった。現校長は被害教員から訴えを受けた際、特段の配慮もせずに加害教員に指導し、被害教員に対する無用の報復を招いた。

 そんな管理職を登用、配置し、放置した市教委の責任は重い。ハラスメント防止へ実効的な研修をせず、相談窓口も機能していなかった。被害教員は孤立、絶望感を深めただろう。

 報告書は複合的な要因として、業務過多による教員の一体感の欠如、職員室の雰囲気の悪さも挙げる。ハラスメントを傍観する風潮もあったという。

 教員間の関係性や職員室の文化・風土まで問題視されたことを、市教委は重く受け止め、猛省しなければなるまい。

 子どものいじめと同じ構造の暴力や暴言が、教員間に横行していたことは衝撃的である。大人社会にはびこるハラスメントを、児童がまね、いじめをしているのかもしれない。

 学校に限らず、家庭や職場など、世の中の至るところで立場の強い者が弱者を痛めつける風潮、温床はないか。誰もが胸に手を当て、ありようを根本から見直すべきときである。




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Author:gogotamu2019
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