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【書評】『そのママでいい 発達障害の子を育てるあなたに贈る43のエール』 当事者支える道しるべに(2020年3月1日配信『産経新聞』) 

 近年、一般的にも知られるようになった「発達障害」。私も成人した発達障害の子を育てる親の一人だが、本書は医療従事者や教育関係者の書いたものとは視点が異なり、実際に発達障害の子を育てる親が、リアルな心情を包み隠さず書いている。

 健常児、障害児に関わらず、子育ての渦中にいると親は目の前のことでいっぱいになる。支援者も学校ごとや成人後と、人生の切れ目で分断しがちだ。そんな中、発達障害の親子が歩んできた道を記した本書は、幼い発達障害の子を持ち、苦悩している親たちや、支援を志す人の道しるべとなる。また、親目線だけだと、とかく感傷的になってしまうが、監修者の精神科医、田中康雄氏が章ごとにメッセージを伝えている点も、この本の良さを引き立たせている。

 発達障害の子を持つと、途方に暮れるような状態が続くことも多いが、多動な子供でも、好物を食べている瞬間は店を脱走することはない。つかの間の安らかな時間、立ち食いうどん店で「お母さん、おいしいね」と子供に言われるような瞬間を糧に、親は子に育てられていく。

 その一方で支援者の常套(じょうとう)句である「子供は褒めて育てる」「親が変われば、子供も変わる」の言葉には、自分が責められているように感じることもある。著者も「それができたら苦労しない」と心の中で反論し、絶望から親子心中一歩手前まで追いつめられた。こうして行きつ戻りつするのが発達障害児の子育ての特徴だ。渦中にいるときの苦悩は親の経験値となり、今後の手立てとなるという部分は、似た状況にある私にも、大いに共感できる部分であった。


 また、発達障害の親子にとって支えとなるのは「お母さん、ここまで本当によく頑張りましたね」の言葉。著者親子もそう言ってくれた医師に救われ、「親を支えれば、子供も変わる」という名言が生まれた。支援者も、ぜひ本書を手に取り、苦しむ親子を支えてほしい。

 欲を言うなら、息子さんがエレベーターで見知らぬ人に「おじさんの頭はどうしてピカピカ光ってるの?」と言ってしまった話など、本人の名誉が傷つかない程度に、トラブルの内容が具体的に書いてあれば、さらに読み応えがあったかも。(田中康雄監修、橋口亜希子著/中央法規出版・1600円+税)

評・立石美津子(著述家)



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内容紹介

■発達障害のある子のママを支える

ママは子育てを十分がんばっています。
発達障害のある子の育ち、成長、そして将来のために、
専門的な知識を学び、実践し、わが子とともに歩んでいます。
ただ、ママ自身のケアも忘れてはなりません。
自責の念に捉われ、周囲の目にさらされながらも、
必死に日々、子育てに奮闘しているママのことを。

本書は、発達障害のある子の母であり、同じ境遇の子・家族の支援活動を
約20年続けている橋口亜希子さんが
発達障害のある子を育てる不安や悩みにどう向き合い、どう対応してきたか、
自らの体験を通して温かく助言するエピソード集です。
今まさに子育てでがんばっているママたちへの、
共感と応援のメッセージが詰まっています。
「親を支えれば、子は変わる」ことが、家族や地域、社会において
一層認識されることが著者の本当の願いです。

■主な目次
●育児書通りにいかない!――書いてある通りにいかないが9割
●自信なんて全然ない。母親いや人間失格!?――自責の悪循環のときは、自信のなさをチャラにする
●子どものせいでも、親のせいでもない――誰かを責めても何も変わらない。そんなときは
●「トラブル」→「怒る」の繰り返し――かと言って「褒める」言葉は大きなストレス
●宿題とやる気と私の怒り――なぜ、息子は宿題をやらないのか?
●小学校の運動会という壁――体を動かすことは好きでも、集団行動は苦手
など全43エピソード

【著者情報】
田中康雄=監修
こころとそだちのクリニックむすびめ院長。北海道大学名誉教授。児童精神科医。臨床心理士。
橋口亜希子=著
橋口亜希子個人事務所代表。発達障害を手掛かりとしたユニバーサルデザインコンサルタント。元日本発達障害ネットワーク事務局長
内容(「BOOK」データベースより)
生活、学校、家族、しして自分のこと。同じ思いのママをささえる「癒し」と「勇気」がいっぱい。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田中/康雄
こころとそだちのクリニックむすびめ院長。北海道大学名誉教授。児童精神科医。精神保健指定医。日本児童青年精神医学会認定医。臨床心理士

橋口/亜希子
橋口亜希子個人事務所代表。発達障害を手掛かりとしたユニバーサルデザインコンサルタント。産業カウンセラー。米国NLP協会認定マスタープラクティショナー。厚生労働省社会保障審議会障害者部会委員、内閣官房「ユニバーサルデザイン2020」心のバリアフリー・街づくり分科会委員、一般社団法人日本発達障害ネットワーク事務局長などを歴任し、現職。約20年の発達障害支援活動を活かした講演・研修を行うとともに、民間企業と協同して発達障害に関するユニバーサルデザインなどにも取り組む

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Author:gogotamu2019
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