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ヘルプマーク/自然に手を差し伸べたい(2020年3月2日配信『河北新報』-「社説」)

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 身体につらさを抱えて思うように動けない人々に、周囲が自然と手を差し伸べられるようなツールの重要性を考えたい。

 赤地に白抜きのハートと十字が意匠された「ヘルプマーク」。外見では分かりにくい病気や内部障害のある人たちが援助を求めやすくするため、東京都が導入した。ストラップ型で基本的にバッグなどに装着して使う。

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け全国に広めようと、17年7月にはJISの「案内用図記号」に登録された。日本人だけでなく外国人観光客にも分かりやすく伝える狙いがあるという。

 内部障害には「心臓機能障害」「呼吸器機能障害」「腎臓機能障害」「ぼうこう・直腸機能障害」「小腸機能障害」「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害」「肝臓機能障害」がある。障害の程度に応じて1~4級の障害者手帳が交付されている。

 厚生労働省が18年4月に公表した調査結果によると、内部障害者は全国に約124万人おり、国民100人に1人の割合となっている。

 心臓機能障害が6割で最も多く、腎臓機能障害は2割を占める。心臓機能障害ではペースメーカーを胸に埋め込んでいる人が多く、腎臓機能障害では人工透析の患者が多い。いずれも外見だけで障害を見分けるのは難しい。

 ヘルプマークはこうした内部障害だけでなく、人工関節や義足を使用している人、妊娠初期や難病の人にも配られている。

 「障がい者総合研究所」(東京)が、JIS登録と同時期に障害者を対象に実施した「ヘルプマークの認知度・利用状況調査」によると、「知っている」と47%が答えたが、「利用している」のは20%にとどまった。

 利用したくない理由の上位は「周囲の反応が気になる」が35%、「認知不足で役に立たない」が33%。「嫌がらせを受けたなどのうわさを聞いた」というのも8%あった。

 登録から3年近くがたって配布する自治体は全国に広がり、各地の公共交通機関で利用者を見掛けるようになった。多くの自治体は「電車やバスでは席を譲ろう」「駅や商業施設で困っていたら声を掛けよう」「災害時は安全に避難できるよう手助けしよう」と訴える。そう難しいことではないだろう。

 だがインターネット上では少なからず、心ない書き込みを見掛ける。健康な人たちは、目に見えない障害があるということをまずは理解し、どんな配慮が求められているのか考えてほしい。

 自分も将来、内部障害を抱えてしまうかもしれない。そうした想像力が、つらさを抱える人たちを支える初めの一歩になるのではないか。障害者がためらわず、周囲の人たちに支援を求められるような社会をつくりたい。




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Author:gogotamu2019
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