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先住民族の権利 回復への議論進めたい(2020年3月3日配信『北海道新聞』-「社説」)

 先住民族の権利回復に関し、北海道に住む私たちに投げかけられた問いと受け止めたい。

 伝統儀式に用いるサケを道の許可を得ず河川で捕獲したとして紋別アイヌ協会の畠山敏会長らが道に告発された問題で、道警が畠山会長ら2人を書類送検した。

 川でのサケ漁は法律で禁じられているが、道の規則は伝統儀式などの特別採捕を認めている。ただ道への許可申請が条件で、双方に違反した疑いが持たれている。

 畠山会長は「サケの捕獲は先住民族であるアイヌ民族の権利」だと主張してきた。開拓使は明治以降、先住のアイヌ民族の重要な食料源で伝統文化でもあるサケ漁を一方的に禁止した。

 アイヌ民族の権利回復は他国に比べ遅れている。一昨年、国連人種差別撤廃委員会は政府にアイヌ民族の土地や自然資源への権利を十分保障すべきだと勧告した。

 これを受け、国や道は権利回復に道筋をつける責務がある。

 畠山会長らは昨年8月31日から9月1日にかけ、サケを捕獲して伝統儀式で供えた。

 10年ほど前から資源保護に配慮した上で一定量の自由な捕獲を保障するよう、国と道に求めてきた。だが、具体的な議論はなく「こうでもしなければ、誰も真剣に考えない」と訴える。

 アイヌ民族の中からは「チャランケ(談判)で権利を回復したいからこそ、多くの協会は無念でも許可申請している」との声も聞こえる。苦悩に思いを致したい。

 明治政府は同化政策を進め、土地や文化、言葉を奪ってきた。権利回復が不可欠なのは明らかだ。

 4月には「先住民族の尊厳」の尊重を掲げ、胆振管内白老町に「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が開設される。アイヌ民族の歴史を学ぶ機会になろう。

 2007年採択の先住民族の権利に関する国連宣言は、土地や資源の権利を保障するよう求め、日本は賛成票を投じた。だが、議論は置き去りにされたままだ。

 カナダでは、先住民族の漁労権は国内法の漁業法の規制より優先されるとの判決が出て、先住民族の漁労推奨に政策を転換した。

 世界的には土地の返還や言語の公用語化、議会や大学の設置などが進んでいる。こうした潮流を知ることが重要だ。

 アイヌ民族と和人が暮らす北海道は多文化共生の先進地となり得る。北海道の魅力を一層高めるよう、鈴木直道知事も責任をもって議論を進めてほしい。




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