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「菊池事件」判決確定 苦渋の決断を再審請求に(2020年3月12日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 ハンセン病患者とされた男性が殺人罪に問われ無実を訴えながら死刑となった「菊池事件」で、隔離先の療養所などに設置された特別法廷での審理を憲法違反とした熊本地裁判決について、原告の元患者らが、控訴しないことを決め判決が確定した。

 国への損害賠償請求を退けられたにもかかわらず、原告側が控訴を見送ったのは、本来の目的である審理のやり直しのために、違憲判決の確定を優先させたためだ。国の最高法規に違反した審理を、このまま放置することは許されまい。原告側の苦渋の決断を、再審請求につなげたい。

 特別法廷での審理について熊本地裁は、「不合理な理由による人格権の侵害」などとして、憲法13条、14条違反を明確に認めた。また、事実上非公開だった点についても、憲法37条、82条に違反する疑いがあるとした。

 一方で、同地裁はこれらの憲法違反を再審事由とまでは認めなかった。しかし、原告の請求が棄却されたことで勝訴した国側の控訴も封じられる形となり、違憲判決の確定は原告側の判断に委ねられていた。

 最高裁と最高検はこれまで、特別法廷の運用に違法性があったとし謝罪していたが、憲法違反は認めていなかった。今回、違憲判決が確定したことで、両者にはこの問題に真正面から向き合うことが求められる。特に、再審請求権を持つ検察の責務は重い。

 熊本地検は、2017年の最高検の謝罪後も、十分な説明をしないまま「菊池事件の再審請求はできない」としていたが、遺族が差別を恐れて再審請求に踏み切れない中、改めてこの判断の是非が問われる。

 このまま検察が放置するのであれば、新たな立法措置による制度改正で再審請求の扉を開くことも選択肢となろう。その場合は再審請求権者の範囲を拡大することや、再審請求の事由に憲法違反を明記することなどが考えられる。

 過去の過ちを自らどう正していくのか-。言葉だけの謝罪でなく、名誉回復と被害救済に向けての実際の行動を求め続けてきた原告と弁護団の訴えを、法曹界のみならず被告の国も重く受け止めるべきだ。




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