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低すぎる労災休業補償額 労基署再調査へ 国審査会採決「画期的な救済」(2020年3月20日配信『毎日新聞』)

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労働保険審査会で主張が認められ、ほっとした様子の村上弘樹さん=東京都立川市で

 長時間労働でうつ病を発症し労働災害が認定された東京都昭島市の調理師、村上弘樹さん(57)が、残業代が固定額にされるなどして妥当な賃金が支払われず労災の休業補償給付額に反映されなかったとして労働基準監督署の処分の再審査を求めたのに対し、国の労働保険審査会は訴えを認めた。村上さんの代理人は「行政不服審査で救済されたのは画期的」と評価している。

 八王子市の京懐石料理店に勤務していた村上さんは、2016年7月ごろから1日も休まず働き、同年11月にうつ病と診断されて休職を余儀なくされた。発症直前1カ月の残業時間は209時間に達し、17年9月に八王子労基署に労災認定された。その際、休業補償給付額も決まったが、村上さんは額の認定を不服として再審査を求めていた。

 13日付の審査会の裁決によると、09年の「同意確認書」で基本給25万円とされていたのが、理由が明らかでないのに休職時点では17万円に減額されていた。残業代は13万円の固定額だったが、何時間分の残業なのかが規定がなく、残業をしていたにもかかわらず、残業分の時間が記載されていないことや支払った形跡もなかった。これらのことから、裁決は「固定残業代や基本給減額が有効か調査を尽くす必要がある」と指摘した。

 また、労基署は出勤を一律午前9時としたが、裁決は村上さんが平日午前8時前後、土・日曜は午前6~7時前後から働いていたと認め、休業補償給付額の訂正を求めた。

 村上さんの所属する三多摩合同労働組合の中山善博委員長は「審査会での救済はまれで、苦しんでいる人の励みになる」と話した。

 八王子労基署幹部は取材に「個別案件に対しては回答できない」と答えた。

 過労死弁護団全国連絡会議事務局次長の岩城穣弁護士は「固定残業代制度は予定した分を超えた残業には追加で残業代を支払わなければならないし、もちろん補償の日額の計算にも反映されなければならない。裁判でなければ労基署の処分を取り消しさせるのは難しく、審査会で認められた意義は大きい」と話した。

同僚大幅減、15人から4人へ うつ発症前3カ月休みなし

 「ギリギリの要員で休めず、発症の直前は客の多い週末に徹夜が続いた」――。村上さんは異常な労働環境を切々と語った。

 村上さんによると、店に勤務するようになった2000年ごろに約15人いた調理師は、うつ病を発症した16年には4人だった。発症前の3カ月間は休みが取れず、「職人のプライド」で働き続けた。夜中に家に戻っても、アルコールに頼らねば眠れず、こたつの中で朝を迎えることもあった。睡眠時間は4~5時間の日々。16年11月17日朝「どうしても起きられなくなり」、妻の強い勧めで精神科を受診した。

 タイムカードを押すのは出勤時だけ……が職場の習慣だった。だが、発症の直前約3カ月間は「意識しないまま」帰宅時も押した。それが、裁決の際の証拠として生きた。

 中山委員長は「相談に来た頃よりずいぶん元気になった」という。早期の職場復帰を目指すが、今も月に1度の通院と服薬が欠かせない状態だという。




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Author:gogotamu2019
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