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「おかあさん」として生きた(2020年3月29日配信『神戸新聞』-「正平調」)

 ある日、園の枯れ草が燃えた。マッチの燃えかすがある。誰が火をつけたか調べようという声を制し、彼女は言う。みんなが何をして遊んでいるか、私にお手紙を書いてもらってと

◆届いた1通に「おかあさん/山ひをもえひを/もちてしました」とある。「山の枯れ草に火をともしたんだよ」という意味と読んだ。悪いこととは思っていない。だから今回は叱るまい。でももう一度何かあればきちんと叱ろう。彼女は職員へそう伝えた

◆93歳で亡くなった歌手で俳優、宮城まり子さんの著書にある話だ。障害児の実情を知って、肢体の不自由な子どもたちの養護施設「ねむの木学園」をつくった。それから半世紀、「おかあさん」として生きた

◆「山ひ」と書いた子とは、手紙のやりとりを毎日続けたそうだ。「くり返し、くり返し、教えなければならない」。こんなにも柔らかく、こんなにもゆっくりと。それでようやく子どもらの心に近づけると教わる

◆やなせたかしさんは、疲れた自分を励ましたくて「手のひらを太陽に」を作詞したそうだ。この名曲を最初に歌ったのが宮城さんだったと、合田道人(みちと)さんの本で知る

◆ぼくらはみんな生きている 生きているから歌うんだ。今もどこかで手のひらをかざしているかもしれない。




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