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「人工呼吸器外し」再審で無罪 殺人罪で服役した女性の名誉回復 湖東記念病院(2020年3月31日配信『京都新聞』)

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西山さんの無罪判決を知らせる支援者(31日、大津地裁前)

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再審無罪判決を受け、支援者らに報告する西山さん(31日午後0時18分、大津市京町3丁目・大津地裁前)

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支援者に迎えられ大津地裁に入る西山さん(手前右)=31日午前10時3分、大津市京町3丁目

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、男性患者の人工呼吸器を外して死亡させたとして殺人罪で懲役12年が確定し、服役した元看護助手西山美香さん(40)の裁判をやり直す再審の判決公判が31日、大津地裁で開かれ、大西直樹裁判長は無罪を言い渡した。逮捕から約16年ぶりに西山さんの名誉が回復された。

 大西裁判長は判決理由で「任意捜査の段階から供述が目まぐるしく変遷している」などから、「自白の任意性に重大な疑義がある」と、自白の信用性や任意性を否定したうえで、他殺された事件性の証明がなく、犯罪の証明もない」と述べた。また、患者の死因について「致死性の不整脈や、たんの吸引が行われなかったことによる低酸素状態に陥った疑いがある」とし、自然死の可能性が高いと判断した。

 さらに、取り調べの担当刑事が、軽度の知的障害などがある西山さんの特性や西山さんの恋愛感情を利用し、「強い影響力を独占して供述をコントロールしていた」と言及。「不当、不適切な捜査によって誘発された自白だ」と指弾し、自白偏重の警察や検察の捜査手法が改めて批判した。

 大西裁判長は判決言い渡し後に説諭。滋賀県警などのずさんとも言える捜査手法に触れて「これまでの手続きが一つでも適切に行われていれば、(西山さんが)このような経過をたどることはなかった」と指摘し、「刑事司法に携わる全員が自分の問題として考えるべきだ」と求め、「今回の再審は、これからの刑事司法をよい方向に変えていく大きな原動力になる」とも述べた。 

 また、大西裁判長は「これまで辛い思いをされてきましたが、もう西山さんは嘘をつく必要はありません。これまで裁判を通して支えてくれる人に出会いました。これからは自分を大切に生きて下さい。きょうがその第一歩となることを願っています」と締めくくった。

 西山さんは涙をぬぐい、裁判長にむかって「ありがとう」と話した。

 閉廷後、西山さんは支援者に囲まれながら「皆さんのおかげで無罪判決をもらいました。最後に裁判長がこれから普通の女性として過ごしていってくださいと涙ながらに言ってくれて本当にうれしかったです。ここまで来られたのも皆さんのおかげです。ありがとうございました」と声を震わせながら話した。

 西山美香さん(40)と弁護団が同日、大津市の滋賀弁護士会館で会見。西山さんは「今日裁判所から無罪という判決をもらうことができうれしく思う。今はまだ判決を聞いたばかりであまり実感は湧かない」と率直な感想を述べた。

 弁護団は「判決では自白調書の任意性および信用性をいずれも明確に否定した。本件の捜査手続きにおいて人権侵害があり、違法・不当な捜査が行われ、その結果、虚偽供述が誘発されたと認めたものであり、その判断を高く評価する」との声明を発表した。また、検察に対し「判決を真摯に受け止めるべき」とし控訴しないよう求めた。

 西山さんは04年7月、人工呼吸器を外して殺害したと自白したとして、殺人容疑で滋賀県警に逮捕された。公判で無罪を主張したが、懲役12年の有罪判決が確定し、17年8月まで服役した。

 同年12月、第2次再審請求審で大阪高裁が「患者は自然死の疑いがある」として再審開始を決定、19年3月に最高裁で確定した。同年4月に始まった検察と裁判所、弁護団による三者協議では、検察側が当初の方針を10月に一転させ、有罪立証を事実上、断念する意向を示した。

 再審公判は今年2月3、10日の2日間で結審し、検察側は求刑を放棄した。被告側請求で開かれた再審で無罪が言い渡されたのは京滋で初めて。日弁連が支援する刑事事件での再審無罪は、19年3月の「松橋事件」に続き全国で18件目。

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湖東記念病院事件再審 元看護助手に無罪判決 大津地裁(2020年3月31日配信『毎日新聞』)

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大津地裁へ向かう西山美香さん(中央)ら=大津市で2020年3月31日午前10時2分

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、入院中の男性患者(当時72歳)の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪で懲役12年が確定し服役した元看護助手の西山美香さん(40)=同県彦根市=の再審(やり直しの裁判)で、大津地裁(大西直樹裁判長)は31日、無罪判決を言い渡した。弁護団は大津地検に上訴権(控訴)の放棄を申し入れる方針。

 殺人事件で再審無罪が言い渡されたのは、熊本県旧松橋(まつばせ)町(現宇城市)で男性が刺殺された「松橋事件」の熊本地裁判決(19年3月)以来。最高裁が再審開始基準を示した1975年の「白鳥決定」以降では16件目とみられる。地検が上訴権を放棄すれば、無罪判決は控訴期限(14日間)を待たずに確定する。

 2月3日に開かれた再審の初公判の冒頭陳述で検察側は「被告が有罪であるとの新たな立証は行わず、証拠に基づき、裁判所に適切な判断を求める」と表明した。同10日の第2回公判の論告でも「本件の刑事手続きの経緯や証拠などを踏まえ、改めて慎重に検討した結果、有罪であるとの新たな立証はしないことにした」と説明し、求刑はしなかった。

 一方、弁護側は「西山さんが人工呼吸器のチューブを外した事実はなく、患者の死因は不整脈や、たん詰まりなどによる自然死だった」と指摘。確定判決で有罪の根拠となった「チューブを外した」という西山さんの自白は「恋愛感情を抱いた県警の刑事らに誘導された」などとして無罪を主張していた。

 西山さんは「私は患者を殺していません」と起訴内容を否認。自白した理由について「担当の刑事の気を引きたかった。逮捕の意味が分かっていなかった」と述べ、最終陳述では「(これまで)どのような思いで家族が過ごしていたのか分かってほしい」と訴えていた。

 男性患者は03年5月22日未明、病室で死亡しているのを看護師に発見された。県警は1年以上たった04年7月、この看護師と一緒に当直勤務をし、任意聴取で「人工呼吸器のチューブを外した」と自白した西山さんを殺人容疑で逮捕した。西山さんは公判では一貫して無罪を主張したが、07年に最高裁で懲役12年が確定した。

 これに対し、第2次再審請求の即時抗告審で大阪高裁は17年12月、患者の死因について、弁護側が新たに提出した医師の意見書などを基に「不整脈により自然死した合理的な疑いが生じた」と判断。西山さんの自白についても、内容が変遷しているとして「自らの体験を供述しているか疑わしい」と虚偽の可能性を指摘して再審開始を決定し、19年3月に最高裁で確定した。



患者死亡裁判 元看護助手の女性に再審無罪判決 大津地裁(2020年3月31日配信『NHKニュース』)

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17年前、滋賀県東近江市の病院で患者が死亡したことをめぐり、殺人の罪で服役した元看護助手の女性の再審=やり直しの裁判で大津地方裁判所は無罪を言い渡しました。

やり直しの裁判で無罪が言い渡されたのは、滋賀県彦根市の西山美香さん(40)です。

西山さんは看護助手として勤務していた東近江市の湖東記念病院で、平成15年に72歳の男性患者が死亡したことをめぐり、人工呼吸器を外し殺害した殺人の罪に問われ、懲役12年の刑が確定しました。

西山さんはもとの裁判から無実を訴えていましたが、服役を終えたあとになって患者は病死だった可能性があるなどとして再審が認められ、2月から大津地方裁判所でやり直しの裁判が行われていました。

判決の言い渡しは31日午前10時半から始まり、大西直樹裁判長は冒頭で「西山さん、証言台の前に立ってください」と声をかけました。

そして「被告人は無罪」と述べ、無罪を言い渡しました。

西山さんは立ったまま「はい」と答えました。

その後、西山さんは席に座って判決理由の読み上げを聞いています。

“真っ白な無罪判決を”

西山さんは午前10時すぎに弁護団とともに大津地方裁判所に着きました。裁判所前には多くの支援者が集まり、西山さんは「真っ白な無罪判決を」と書かれた横断幕を手に法廷に向かいました。報道陣からの問いかけに西山さんは「どんな判決をもらえるのかドキドキしています」と話していました。

そして、判決が言い渡された直後の午前10時半すぎ、裁判所から出てきた弁護士2人が「再審無罪」と書かれた紙を掲げると、集まった支援者からは拍手とともに歓声が上がりました。

傍聴席 倍率は22倍

大津地方裁判所では、判決を見届けようと多くの人が集まり、午前9時半前から抽せんのため整理券が配られました。傍聴席は新型コロナウイルスの感染防止対策として15席に減らされましたが、これに対し傍聴を希望した人は326人にのぼり、倍率はおよそ22倍になりました。

大阪 岸和田市から来たという支援者の70代の女性は「これまでずっと応援してきた西山さんを最後まで見届けたいと思って並びました。司法にはさまざまな課題があると思いますがこれを機に改善されていけばいいです」と話していました。

また、神戸市から来たという支援者の70代の男性は「人生の大切な時間を奪われて長いこと苦しんできた西山さんの無罪判決をぜひこの目で見届けたいと思ってきました。この判決は、全国にいるえん罪の被害者が勇気をもらうものになる」と話していました。

事件から17年 訴え続けた無罪判決

平成15年5月、滋賀県東近江市にある湖東記念病院で72歳の男性患者が死亡しているのが見つかりました。「患者の人工呼吸器のチューブが外れていた」という証言があったことから、警察は業務上過失致死の疑いで捜査を始めました。

その1年余りあと、病院の看護助手だった西山美香さんが殺人の疑いで警察に逮捕されました。「人工呼吸器のチューブを外した」と自白したことがきっかけでした。

裁判で西山さんは「精神状態が不安定でうその自白をした」として無罪を主張しました。しかし、1審の大津地方裁判所は「捜査段階の供述は詳細かつ具体的で信用性が極めて高い」として懲役12年の判決を言い渡し、平成19年5月、最高裁で確定しました。

西山さんは和歌山刑務所に服役していた平成22年9月、1度目の再審請求を行い、最高裁まで争いましたが、認められませんでした。

平成24年9月、西山さんは2度目の再審請求を行い、大阪高裁で争っていた平成29年8月、刑期を終え、刑務所を出ました。

出所から4か月後、大阪高裁は再審を認める決定を出しました。医師による鑑定書などの新たな証拠から患者の死因が人工呼吸器が外れて酸素の供給が途絶えたためとは断定できず、不整脈による病死だった可能性があるとして、事件性そのものが疑われるという判断を示し、去年3月には最高裁も再審を認めました。

再審は2月に始まり、弁護側が新たな証拠による患者の病死と警察によるうその自白の誘導を主張したのに対し、検察側は、有罪の立証を断念して求刑も行わず、西山さんに無罪が言い渡されることが確実となりました。

現在、西山さんは工場で働きながら服役中の生活を支えてくれた高齢の両親と一緒に暮らしています。

事件発生から17年。長い年月を経て西山さんは訴え続けてきた無罪判決にたどりつきました。



再審無罪、「自白偏重」が冤罪招く 制度改革なお課題(2020年3月31日配信『日本経済新聞』)

 滋賀県の病院で患者を死亡させたとして、殺人の罪で服役した西山美香さん(40)に31日、大津地裁が再審無罪判決を言い渡した。戦後の再審事件を巡っては、警察や検察による捜査の問題点が露呈。過去に冤罪(えんざい)が生み出されてきた背景には「自白偏重」の捜査手法がある。近年取り調べの録音・録画(可視化)の導入など見直しが進んだが、対象は一部に限られたままだ。

 「自白偏重」の捜査手法の見直しが進むきっかけの一つになったのが、栃木県足利市で女児が殺害された「足利事件」だ。無期懲役が確定した男性の再審無罪が2010年に確定。捜査段階でDNA鑑定を過大評価し虚偽の自白に至った経緯が批判され、警察と検察の幹部が男性に直接謝罪する事態に追い込まれた。

 最近の再審請求事件でも、自白調書を否定する司法判断が相次ぐ。大阪市東住吉区で小6の女児が死亡した火災では、16年に殺人罪などで服役中だった母親らの再審無罪が確定。判決は「虚偽自白を誘発した」として警察の取り調べを批判し、確定審が有罪の根拠とした供述調書や自供書を否定した。

 捜査当局が「密室」での厳しい取り調べで自白を迫り、犯行を裏付ける物証などの直接証拠が乏しいまま、裁判所が供述調書を基に有罪に導くことが、冤罪を招いた一因ともされた。

 このため、09年の裁判員裁判の開始を前に、警察と検察で取り調べの録音・録画(可視化)の試行がスタート。19年6月からは裁判員裁判の対象事件と検察の独自捜査事件で、取り調べの全過程の録画が義務付けられた。最高検によると、19年度上半期の録音・録画は5万151件。裁判員裁判対象事件は1244件実施し、このうち全過程を録音・録画したのは1234件だった。

 録音・録画は容疑者が密室での取り調べ中に暴行や圧力を受けることなく、自らの意思で供述したという自白の任意性が保たれやすいとされ、冤罪防止が期待されている。

 一方、窃盗や痴漢といった量刑の比較的軽い事件や、任意や在宅での取り調べは義務の対象外となる。日本弁護士連合会は「違法な取り調べや冤罪を防ぐために、今後は可視化の対象を、全件・全過程に広げていくべきだ」と指摘している。




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