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どう守る「供述弱者」滋賀・呼吸器外し再審、31日に判決(2020年3月29日配信『産経新聞』)

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再審判決公判を前に会見に臨む(左から)井戸謙一弁護士、西山美香さん、父の輝男さん、母の令子さん =23日午後、滋賀県彦根市

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 「供述弱者」という言葉がある。簡単に他者に迎合する傾向があり、取り調べなどで自身の利益を守ることが難しいとされる人たちだ。31日に大津地裁で判決が言い渡される滋賀・呼吸器外しの事件の再審で、逆転無罪が確実視される元看護助手、西山美香さん(40)もその一人。彼女はなぜ、身に覚えのない「虚偽の自白」に至ったのか。背景には障害などの影響があったとされるものの、専門家によると「明日はわが身」。決して特別なことではないという。

■鑑定医「はじめから違和感」

 平成29年春、愛知県の心療内科医、小出将則氏(58)は和歌山刑務所を訪ねた。服役する西山美香さんの精神鑑定を行うためだった。

 小出氏は西山さんが獄中から家族に宛てた手紙の内容を精査する中で、違和感を覚えていた。《楽しい》と書かれた文書をよく見ると、「楽」の字の「白」の部分は「自」になっていた。「こういう間違い方をする人は、なかなかいない」(小出氏)

 刑務所では、あらかじめ西山さんが記入した回答を直接確認した。「文章補充テスト」と呼ばれ、場面に応じた対応ができるかなどを調べるものだ。

例えば「学校の前なのに車で時速60キロも出して、一体どこへ行くつもりですか」と問うた警察官に対し、回答を記入する設問。西山さんはこう答えた。《すみません。いつもこれくらいスピード出していてもなにも言われなくて》。状況を客観視したり、相手の意図を見抜いたりする力が乏しいと直感した。供述弱者の特徴だった。

 鑑定の結果、西山さんには軽度の知的障害や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの傾向があることが分かった。本人や家族もその事実に気づかず、捜査や公判でも見過ごされていた。

 家庭環境の影響も検討した。成績優秀な実兄と比較されて育ち、劣等感があった西山さん。小出氏は「『自分を見てほしい、大事にしてほしい』との執着から、刑事との関係の維持を優先してしまい(供述の)迎合につながった」と分析する。

■特殊な空間、「明日はわが身」

 小出氏は、障害が虚偽自白の一因になったとみる一方、「供述弱者につながる弱点は誰もが持っている。明日はわが身と思ってほしい」とも指摘。特に、取り調べという特殊な空間に置かれると、個人の弱点が如実に表れるため「パニック状態で思ってもみないことを言う可能性がある」。

供述弱者を、冤罪(えんざい)からどうやって守ればいいのか。小出氏は取り調べの可視化や弁護士の立ち会いの導入に加え、「法曹関係者が障害特性を持つ人への理解を深めることが重要」と主張。「次の西山さんを生まないため、この再審公判を教訓にすべきだ」と話した。

     ◇

 呼吸器外し事件 滋賀県東近江市の湖東記念病院で平成15年5月22日、入院中の男性患者=当時(72)=が死亡し滋賀県警は16年7月、殺人容疑で殺害を自白した看護助手の西山美香さんを逮捕。西山さんは公判で無罪を主張したが、懲役12年の判決が確定した。だが、第2次再審請求審で大阪高裁は29年、不整脈による自然死の可能性や虚偽の自白の疑いを指摘。再審公判は今年2月から始まり、検察側は論告で求刑せず結審。3月31日の判決公判での無罪言い渡しが確実視されている。




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