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話しかけられるのは介護者ばかり れいわ・木村英子議員が国会でも感じた差別(2020年4月5日配信『文春オンライン』)

 重度障害者2名が参議院選挙に当選し大きな話題を集めてから8か月余り。今、彼らは何を考え、どこに向かっているのか。れいわ新選組の木村英子参議院議員に、議員と同じ重度脳性麻痺者のライターである私、ダブル手帳( @double_techou )がインタビューした。

 この取材のために新幹線に乗ったところ、駅員や車掌の方々の態度が以前とまるで違った。「車椅子席が狭くてすみません」などと言われたのは生まれて初めてだ。間違いなく、木村議員が委員会でその問題を指摘したことによるものだろう。私も木村議員の影響力をひしひしと感じている障害者の1人だ。

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木村英子議員

◆◆◆

初登院は「死ぬかと思った」

——初登院の際、メディアが殺到して阿鼻叫喚の騒ぎとなりました。どんな気持ちでしたか?

木村 死ぬかと思いました。すごいですよね。マスコミにあんなに囲まれた経験がなくて。「こんなに死に物狂いで、毎日揉みくちゃにされながら議員をやらなきゃいけないのか」って、ちょっと不安になりました。

 でも、私としては、出馬を決意した時から「どんなことが起きてもやりきろう」という覚悟はしていたところなので。

——国会への出席が重度訪問介護制度の対象外になることが明るみに出て、制度の問題点を多くの人に印象付けましたね。こうした事態は当初から予想していましたか?

木村 はい、制度上「使えない」と書いてあるので、引っかかるんじゃないかなと思っていました。具体的にどんな形で介護を止められるのかまでは想像できませんでしたが。案の定、当選後、「議員活動には介護が使えませんよ」と自治体に言われた。

——木村議員の登院自体が、制度の問題点を提起する手段にもなるという意図はあった?

木村 はい、それはありました。

れいわからの出馬、オファーの経緯

——れいわ新選組の山本太郎代表からのオファーがあり、出馬されました。数多い重度障害者の運動家の中で、特に木村さんに白羽の矢が立った経緯を教えて下さい。

木村 わたしは2015年から重度障害者が地域生活を送ることができるよう、公的介護保障を求める全国公的介護保障要求者組合の書記長を務めているのですが、山本さんに「障害者の現状をお話ししたい」とお願いして、集会に来ていただいたことが知り合ったきっかけです。

 その後も組合の交渉に何回か参加してくださったのですが、そこで私が交渉する姿を見て、「交渉できる力を持つ人だ」「議員になれる方だ」と思ったというふうに言っていただきました。

——実は、過去には他党からも出馬のオファーがあったと聞きました。

木村 市議選や都議選へのお誘いは昔ありましたが、当時は政治に参加するのは難しいと思いお断りしました。

——元々は議員になるつもりではなかったのですね。

木村 なりたいと思ったこともないです。障害者運動、特に介護保障運動をしなければ私のような重度障害者の生活は保障されませんから、死ぬまで運動を続けていくと思っていましたので。

なぜ一度は断った政治への道を選んだか

——では何故、去年は出馬を?

木村 障害者政策が何年かごとに、あるいは政治が変わったりすることでどんどん悪くなっていく状況があったからです。

 たとえば、重度訪問介護制度は、元は「重度脳性麻痺者介護人派遣制度」という東京都の単独事業として始まったのですが、その後、対象拡大や国の事業への移行などがなされて、国による規制が加わり生活しづらい制度になってきました。組合にも、介護時間数を減らされたり、65才になったら重度訪問介護が使えなくなったなどの様々な相談が全国から多数寄せられていました。

 そこで、運動だけで変えられない現実を実感しまして。今ある制度を維持、あるいは広く改善するには、重度障害者が政治家になることが求められている時代かもしれない、と。

——あくまで障害者政策を動かすための一手段であって、目的ではないと。

木村 ええ。ただ、それが私でいいのか、出馬寸前まで自問自答しました。他の方がやって下さればという気持ちも抱えつつ、最後は断腸の思いでやりました。

音喜多議員「歳費を返納すべき」をどう思うか

——少し関連しますが、先日舩後議員が健康上のリスクを理由に出席を見合わせたことに対して、音喜多議員が「歳費を返納すべきではないか」という趣旨のツイートをされたことはご存じですか?

木村 はい、知ってます。

——率直にどう思われますか?

木村 歳費は議員が同一にもらっているものですし、それぞれの事情でお休みされている議員は舩後さんだけではないですよね。

 だから、一概に障害を理由として休んでいることに対して「歳費を返せ」というようなことを議員が言ってしまうと、国会議員の質を全体的に下げることになると思います。発言がいいか悪いかとか、そういうことは私は言いたくありませんけれども。

 国会は、国民の人がみんな見ている場です。そこを、差別をなくしたり、障害者も健常者も活動しやすいように合理的配慮をしたりする姿勢を作っていく場所として見せていくのが議員の努めだと思います。

私がいる目の前で……国会で感じる差別

——その国会においても差別を感じたことはありますか?

木村 差別というか、他の議員とご挨拶程度のお付き合いしかできないというのはあります。議員のお友達がまだいない。

 議員の方の中には、私の目の前で介護者に向かって「障害者の介護をされて大変ですね」などと言う人もいる。労いの言葉なのでしょうが、当事者とすれば傷つきますね。

——国会議員がそんなことを言うんですか。

木村 はい、そういう方は若干います。

 おそらく、差別しようという意図ではなく、無意識で出た言葉だと思いますが。そういう感覚は、議員に限らず大多数の方が持っておられるので。

——議員だけではない、と。

木村 そう思います。障害者の人は意思を期待されていないので、周囲の人たちが「この障害者は何をしたいのか」と介護者の人に聞くことはよくあることなんです。たとえば、巷で私が買い物をすると、店員さんは必ず介護者に「何にしますか?」と聞くんですよね。

 でも、本当は直接こっちに聞いてほしいじゃないですか。だって、私が買うのに。

——それは非常に分かります。ヘルパーさんと出かけると、みなさん、ヘルパーさんばかりに話しかけますね。僕の意思なんか確認されません。

木村 それぐらい障害者って子ども扱いされているし、差別されている現状があるんですが、特定の人だけがやっているわけではなくて、社会全体にそういう認識があります。

「首はどこから折れてるんですか?」と聞かれ

——議員になってからマスコミの取材を受けることも増えたのではと思いますが、マスコミの人達から、意識のズレや差別意識のようなものを感じたことはありますか?

木村 あまりないです。ただ、中には「障害者のことをあまりよく分かってないんだろうな」と感じる質問を受けることもあります。

 例えば、「首を損傷しているというのは、首はどこから折れてるんですか?」とか。「折れてたら死んでます」と思うんですけれども。普段聞かれないようなことを聞かれるので、「そこに関心があるんだ」と不思議な気持ちになることもありますね。

(#2「 校長と対立『退学させますよ』れいわ・木村英子議員の壮絶すぎる女子高生時代 」へ続く)

写真=深野未季/文藝春秋




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