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「けしからん」国交相を動かした、れいわ・木村議員の質問力はなぜ高いのか(2020年4月5日配信『文春オンライン』)

れいわ新選組・木村英子参議院議員インタビュー#3

――委員会質問では、観念論ではなく、極めて具体的・建設的で、なおかつ分かりやすい提案をされていますね。そして、国土交通大臣からも前向きな発言を多く引き出しておられる。

 木村議員が「車椅子スペースの運用・大きさ・量が極めて不十分」と指摘した新幹線の問題では、大臣から「大変けしからん話」という言葉を引き出し、即座に「対応の抜本的な見直し」がJR各社に要求されました。多機能トイレについても「障害者用とそれ以外の乳幼児用などを分け、さらに障害種別ごとでも作って、障害者が利用しづらい現状を解消すべきではないか」と質問し、大臣が設計基準の迅速な見直しを指示することにつながりました。

 何故、初当選の議員でありながら、これだけ突出して質の高い質問が次々とできるのですか?

木村 質が高いかどうかは分からないんですけどもね。

 ただ、一つ言えるとすれば、私が難しい言葉をあまり分からないというのがあります。大臣や役人の方が仰る法律用語や制度名って、ものすごく長ったらしくて分かりにくいんですね。ですから質問する時は、法律用語や制度などをかなり読み込む。つまり、自分が分かりやすい言葉に変えて質問します。

 そうして生まれる「自分にとって分りやすい言葉」は、結果的に相手にも分かりやすいんじゃないでしょうかね。私たちの仲間には知的障害者の方も居ますから、尚更分かりやすさには気を付けています。

当事者を呼んだ、徹底的な視察

――質問を練り上げる際の具体的な工程も伺いたいです。

木村 はじめに、私や他の障害者がどんな事で困っているかというのを、考えたり聞いたりします。具体的に言えば、国交省に関係するバリアの問題を抱えている方たちを呼ぶわけです。次に、きちっとその現場に行って視察をします。

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新型コロナウイルス感染対策のため、当日はマスク着用でインタビューに答えた木村議員

――視察はどのようにされるのですか?

木村 例えば、新幹線のバリアフリーだったら、実際に私が乗って、本当に車いすがはみ出しちゃうとか、乗れてないとか、前日までに予約しなければ駄目だとか示していく。視覚障害者の点字ブロックや見守りのことであれば、実際に当事者の方達と一緒に駅を歩いて、どんなところが危険かを視察するんです。

 そういった中で初めて知ることもあります。私も、点字ブロックには誘導ブロックや警告ブロックなどの色々な種類が細かく決まっていることは知りませんでしたし。それらの知識も覚えていきます。

 そうやって知ったことを、「困ってる事や実情を当事者目線で分かりやすく大臣にお伝えしよう」という感じで質問しています。

聴覚障害者が券売機で切符を買うとき……

――今後、国土交通委員としてどのような課題に取り組んでいきたいですか?

木村 鉄道一つ取ってもまだまだ課題はあります。例えば、聴覚障害者の方が券売機で切符を買う時に、駅員からの伝達手段がインターホンだったりするので。耳が聞こえない人に対してなんでインターホンなのかな、とか。

――言われてみると確かにおかしいですね。

木村 飛行機も、車いすだとどうしても乗りにくい、医療機器が必要な人は搭乗の1か月前までに予約が必要であるなど、いろいろなバリアがあります。

 今年はバリアフリー法の改正とかもあるので、それもやっていきたいと思っています。

木村議員がとにかく改善したい制度

――慣例通りなら2年後に常任委員会の再編があります。その時は、やはり厚生労働委員会への所属を希望されますか?

木村 そうですね。そういう希望は出すと思います。とにかく重度訪問介護制度を改善したいというのがありますので。そのためにはできるだけ早く厚生労働委員会に行かないと、と思っています。

――重度訪問介護制度といえば、24時間介護が必要な障害者が宿泊先で利用できるなど比較的柔軟な面もある一方で、様々な問題点も指摘されていますね。やはり、重度訪問介護制度への問題意識は大きい?

木村 はい。私が国会議員になったことで、重度訪問介護という制度が国民に広く知れ渡りましたけれども、それでも、居住する自治体によっては「そもそも今のこの制度ですら、使いたいのに使えない」という人がたくさんいらっしゃって。それでは社会参加ができないですよね。

 そうなると、その人が自分の可能性や能力を社会で発揮するチャンスを奪われることになりますので。それはやはりあからさまな差別だと思うんです。

 ところで今、重度訪問介護を利用されてるんですか?

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新型コロナウイルス感染対策のため、当日はマスク着用でインタビューに答えた木村議員。手前が筆者

――利用資格はあるのですが、実際利用しているのは居宅介護の方です。

木村 やっぱり重度訪問介護は時間当たりの介護報酬が低いから、事業として実施している事業所が少ないというのもあるんですよね。

――まさにそれが理由です。

木村 そうでしょうね。もし何か困られたら、要求者組合までいらしてください。

 その上、重度訪問介護を支給してもらっていても、その日働いてもらうヘルパーさんが見つからなかったら、制度があっても使えないという問題もあります。

人手不足で、制度があっても使えない

――今朝、木村議員が1994年に多摩市で設立した障害者の自立生活支援団体「自立ステーションつばさ」に伺って、「木村議員らが奔走し、多摩市にヘルパー資格のない人も介護に携われる仕組みを作った」と教えてもらいました。

木村 はい。多摩市では「障がい者自立生活サポーター支援事業」と呼ばれていて2012年にできました。昔の「介護人派遣事業」を復活させたような仕組みなんです。

 今、在宅介護全体が資格重視になっていますので、とても人手不足です。そんな中で、今の制度だけでは介護者が確保できませんから生きていけない。

――深刻な問題ですね。

木村 加えて、幼い頃から分けられてきたので、障害者のことは理解されにくく、介護資格を持っている人にも障害者の介護は敬遠されがちです。ですので、この制度には将来資格を取る人に、資格を取る前から障害者介護に携わってもらう、という意味合いもあります。

 ヘルパー資格を取るための学校は多くあっても、その中で障害者のことを教えるカリキュラムはほとんどないですから。ヘルパーになって初めて障害者に触れるという人ばかりなので。

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木村議員が立ち上げた障害者の自立生活支援団体「自立ステーションつばさ」

究極的に目指している福祉の形

――今の介護制度に強い問題意識を持っていらっしゃることがよくわかりました。究極的に目指している制度の形、というようなものはありますか。

木村 公約にも掲げている「日本型パーソナルアシスタンス」制度です。スウェーデンの制度を参考にしているのですが、国から本人に直接お金が支給されて、本人がそれを介護者に支払う仕組みなんです。

なぜ直接支給が必要なのか

なぜ直接支給が必要なのかというと、障害者が自分の介護、もっと言うと生活を自分の裁量でコーディネートできるようにするためなんですね。現状のように、相談支援事業が間に入ったり、細かい規則でがんじがらめにしたりして、使い勝手を制限するのは望ましくないかな、と。

――健常者と同様に、「自分の生活は自分で決める」ということですね。

木村 そうですね。今の制度を使うと、移動や家事、入浴と、生活を全部縦割りで切り刻まれてしまう。だから障害当事者からすれば、自分の好きな時間に買い物や入浴やリハビリをしたくてもできないということになっちゃうんですね。

 最低限命を保つためのケアは保障されているかもしれないけど、「生活の質」は保障されていない。「社会参加」という言葉を謳いながら、現実的には社会参加を担うような制度にはなっていないんです。

――私も時々「もう少しのびのび生活したいな」と思います。

木村 旅行に行ったり、遠出をしたり、海外に行ったりなども、今の制度では厳密には許されてないのでね。健常者の人は海外に自由に行けるのに、「障害者は介護が必要だから行けないよ」というのは変じゃないですか。

――今の制度って、なぜこんなにも使いにくいのでしょう。

木村 健常者と同じように当たり前に生きていきたいだけなのに、人権が軽んじられているところがあるのかなと思っています。国会に入って、「当事者目線の障害者政策が全くと言っていいほど考えられてないな」と改めて感じましたし。介護をする方や法律を作る方、そして専門家は健常者が多いですから。やはり健常者目線の制度なんですよね。

――中央省庁にしても、障害者雇用数の水増しを行うくらいですから、政策に障害者の目線を入れようという発想自体を持ち合わせてなかったんでしょうね。そもそも介護報酬が低すぎるという指摘もあります。

木村 その問題についても取り組んでいきたいです。仕事の内容からすると、介護報酬はとても少ないと思います。重度訪問介護は、1時間1,800円ぐらいの介護報酬の中でやりくりしなくてはいけないので、社会保険などを入れると結構カツカツですから。

議会の外で最も時間を割いていること

――ところで、議会活動の外では何に最も時間を割いていますか。

木村 やっぱり介護者探しですね。

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新型コロナウイルス感染対策のため、当日はマスク着用でインタビューに答えた木村議員

――それは、ご自身の介護者探しですか?

木村 私の介護者探しも、仲間の介護者探しも両方やります。

――大変驚きました。木村議員の名は日本中に知られていると思いますが、「それでも介護者は探さなければいけないのか」と。健常者は、そもそも介護者探しということ自体を知らないと思うんです。

木村 具体的に言えば、街頭に立ったり大学に行ったりしてボランティアをお願いするということですね。介護者が居なくてご飯が一食食べられないことなどは、よく聞く話です。私自身、重度訪問介護を1日24時間支給していただいてますけど、介護者がいなかったらそれも使えない。ですので、未だに時間を見つけては街に出ています。

国会議員になったから生活が楽になるとかは一切ない

――介護者は、それほどに不足している。

木村 私以外にも、お金や制度があっても介護を受けられないという方は増えていると思います。人が来ないとか、やめていっちゃうとか。深刻ですね。

 国会以外の活動で言えば、要求者組合の方たちの相談を受け付けて、それに対する活動を行うことですかね。だから、議員になる前から変わらず、障害者運動も引き続きやっています。そこに議員としての活動がプラスされるので更に忙しいというか。アップアップという感じです。

 国会議員になったから生活が楽しくなるとか楽になるとかいうことは一切ありません。重度障害者であるという現状は厳然と横たわっていますから。

――最後に、いま行政のあり方や政策を大きく変えることができている実感は?

木村 課題がたくさんありすぎて、まだまだ全然ないですね。私もまだ国会の慣例は難しくて完全には分からなくて。理不尽だと思うことや、どうしていいか困ることはまだ多いですね。それに慣れるのもちょっと嫌なんですけど。

 でも最近やっと「いろいろなことをやってきたな」と感じられようになってきて、これからが変えていく段階だと思っています。ここからですね。

写真=深野未季/文藝春秋




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