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同一労働同一賃金 公正な処遇で働く意欲の向上を(2020年4月6日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 パートや派遣などの非正規社員と正社員との間の不合理な待遇差を禁止する「同一労働同一賃金」が、大企業と派遣会社で1日から始まった。昨年4月から順次施行されている働き方改革関連法の柱の一つだ。

 就業者のうち非正規で働く人は約4割を占めるとされ、職場を支える不可欠な存在だ。しかしその待遇改善は正社員に比べ進んでおらず、格差是正は喫緊の課題だ。同一労働同一賃金は何も特別な対応ではない。公正な処遇は人事管理の基本で、労働者の意欲や生産性の向上につながると企業は認識しなければならない。

 企業は、正社員と非正規社員の仕事内容が同じで能力や成果も同等な場合、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇で差を設けることが禁止された。罰則規定はないが、労働者から待遇差の内容や理由の説明を求められれば応じる義務がある。来年4月からは中小企業でも適用になる。

 共同通信が1~2月に実施した主要企業110社の調査で、同一労働同一賃金で待遇改善に「つながる」「ある程度つながる」としたのは79社だったものの、待遇見直しの内容は休暇、手当、福利厚生が多く、賃金の主要部分である本給は14社のみだった。待遇改善は休暇や手当が主で、賃金面での改善は限定的なものにとどまる可能性がある。それでは不完全であることは言うまでもなく、根本的な改善とはならない。

 また、同一労働同一賃金の導入に伴い、大手企業の5社に1社が正社員の基本給や賞与を減らす可能性があるといった民間の調査結果もある。正社員の待遇引き下げで対応するようなことは、労働者全体の待遇改善を目指す法の趣旨に反しており本末転倒だ。

 基本給や賞与については経験や成果、会社への貢献などに応じて一定の差をつけることがなお認められている。企業は労働者が納得できる具体的で客観的な評価基準を示し、賃金の決め方の透明性を確保しなければならない。分かりやすい正社員化の仕組みづくりといった抜本的な取り組みも必要だろう。

 懸念するのは新型コロナウイルスの感染拡大の影響だ。企業収益は大幅に悪化している。今年の春闘は連合の中間集計で賃上げ率が7年ぶりに2%を割り込み、自動車や鉄鋼など大手企業で前年を下回る回答が相次いだ。人件費を削減するために、非正規社員の雇い止めや正社員の解雇の動きが広がっていることは見過ごせない。

 新型コロナの事態収束は見通せず、景況は悪化し先行きが不透明になっているのは確かだ。経営環境は厳しい局面にあるものの、人口減少の中、人材確保にもつながる同一労働同一賃金の実現は企業の成長に欠かせない。経営者側には中長期的な視点で、多様な人材が働ける環境づくりへ働き方改革を着実に進めてもらいたい。




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Author:gogotamu2019
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