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「新聞をヨム日」 4月6日

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新聞をヨム日(2020年4月6日配信『高知新聞』-「小社会」)

 新聞の読者の中には「社説はあまり読まない」という人もいるかもしれない。社説の読者は全国の新聞社で執筆に当たる論説委員の数だけしかいない―。業界内にはそんな自虐的な話も伝わっている。

 社説が読者に向かってものを言うのではなく、政府や政治家らに批判的な意見を述べることが多いからだろうか。近寄りがたい意見に一般読者は何となく寂しい気持ちになる―。英文学者の外山滋比古さんが、著書「新聞大学」にそんなふうに書いている。

 確かに新聞を含むマスコミは、情報の送り手と受け手が「一方通行」だとしばしば言われてきた。送り手は発言できても、受け手はすぐに答えたり反応したりするのが難しい。

 反対に「双方向」の魅力が人々をとらえて離さないのが、会員制交流サイト(SNS)だろう。ネット上で多数と瞬時に情報をやりとりできる。そうしたスピード感を生かし、読者と一体感を持った紙面をどう作っていくか。

 模索の一つが随時掲載「新型コロナ 声…高知から」。無料通信アプリLINE(ライン)を通じて、感染拡大への不安や悩みを募って取材している。読者との新しいつながり方はきっとまだある。

 社説について外山さんは〈論理というものが美しいと感じる教養をつけるには、さしあたって、新聞の社説がもっとも手近〉とも書いてくれている。買いかぶりと言われないよう心したい。きょうは「新聞をヨム日」。



新聞をヨム日(2020年4月6日配信『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 今日から1週間は「春の新聞週間」。日本新聞協会が2003年に定め、初日の4月6日を「新聞をヨム日」とした。記念日というわけではなく、数字の語呂だが「読む」を「ヨム」としたのはどこか意味深い。

 広辞苑で「よむ」を引くと「読む」のほか詩歌を作ったり詠じたりする「詠む」の漢字が出る。漢字が付く前は同じヨムだった。谷川健一著「うたと日本人」によるとヨムは「月よみ」や「日よみ(暦)」のように数を数えることで、できる人がモノシリ(物知り)だ。

 ヨムは神託、つまり神の意をヨム仕事へと比重が移っていく。今も奄美や八重山の言葉で神の言葉を指す「ユングトゥ」はヨミゴト(誦み言)の意味という。「謎めいた表現や不透明な言葉をつぶやく程度」だったヨミゴトが韻律を伴って、神へ訴えるウタ(歌)へ発展する。

 現代なら、神意を世の中の事象の真意と読み替えて、ヨムの意義を再生してもいいかもしれない。種々雑多な情報が飛び交う中で新聞はニュースの本質をずばり提示することで、結局は時間を節約できる。新型コロナウイルスに関してフェイクニュースが飛び交った昨今はなおさら使命を痛感する。

 今は異動のシーズン。転居がきっかけで新聞購読が途切れることもあるため、引き続き購読を続けてほしいという願い、また新生活を始める大学生にこれから読んでほしい期待もあって新聞週間が設けられている。先の見えない時代にヨム大切さを伝えたい。



きょう[「新聞をヨム日」] 危機の克服 地域と共に(2020年4月6日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。感染者が急速に増えているだけでなく、感染源のはっきりしないケースも目立ってきた。

 街から人が消え、仕事がなくなった。フリーランス、非正規など不安定な雇用環境にある人々や、観光業、飲食店などに勤める人々の暮らしが足元から揺らぎ始めている。

 米国や欧州の一部では感染爆発が起き、医療崩壊が現実になりつつあるというのに、現時点では特効薬やワクチンがない。

 社会全体に重苦しい空気と不安が広がっている。

 「戦争の最初の犠牲者は真実である」という言葉があるが、不安に乗じて「非常時」に勢いを増すのは、デマ、流言、フェイクニュースのたぐいである。

 実際、ネット上には、事実に基づかない誤情報や虚偽情報、真偽不明の情報、陰謀論がはんらんし、人々の不安をかきたてている。

 SNS上のフェイクニュースは、科学的事実よりも速く広く拡散し、真に受けた人々の不安感や恐怖感を高める。

 不安感や恐怖感が、差別や偏見、思い込みと結び付いたとき、攻撃的で暴力的な感情が特定の集団や国家、個人に向けられることが多い。

 人々のさまざまな営みによって築かれた信頼や尊厳、人権が脅かされるのはそんなときだ。現状を「非常時」だと形容するのは、そのような憂うべき事態が国内を含め世界各地でみられるからである。

 新型コロナウイルスとの闘いは、差別や偏見との闘いでもある。

■    ■

 日本新聞協会は、4月6日を「新聞をヨム日」とし、同日から12日までを「春の新聞週間」と定めている。

 新型コロナウイルスの感染拡大は新聞メディアに重い課題を突き付けている。

 感染者が日ごとに増加していく中で、「情報のライフライン」としての新聞の機能をどのように維持していくか、という現実問題が一つ。

 もう一つは、この事態をどのように報道していくか、という「非常時」ジャーナリズムのあり方の問題だ。

 懸念されるのは、権威主義的国家が「非常時に強い」と評価され、自由や個人の尊厳など憲法が前提としているさまざまな価値が軽んじられることである。

 コロナウイルスの「出自」を巡る米中の対立や、米国とフランスで表面化した「マスク争奪戦」など、嘆かわしい事態も起きている。

 パンデミック(世界的大流行)を克服するための各国の協調と連帯を強く求めたい。

■    ■

 新聞は今、経営的にもジャーナリズムの面でも、これまでにない厳しい環境に置かれている。ただ、「情報のライフライン」としての役割や、「民主主義の情報インフラ」としての役割がなくなったわけではない。

 テレビ、ネット、新聞がそれぞれのメディア特性を発揮しながら、相互補完的な関係を築くことが重要である。

 権力監視の役割を果たすと同時に、地域と共に歩む建設的ジャーナリズムの姿勢を強めていきたい。

 


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