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湖東記念病院事件再審無罪 滋賀県警が質問拒否通告 17日定例記者会見(2020年4月16日配信『毎日新聞』)

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2019年12月25日付で着任した滋賀県警の滝沢依子(よりこ)・新本部長(51)は同日、県警本部で記者会見し「県民の皆さんの安心安全のため、しっかりと取り組みたい」と抱負を語った。

 滋賀県東近江市の湖東記念病院の入院患者死亡を巡って県警に逮捕され、殺人罪で服役した元看護助手の西山美香さん(40)が再審(やり直しの裁判)で無罪判決を受けて確定したことについて、県警は滝沢依子本部長が出席する17日の定例記者会見で質問を受け付けないと記者クラブに通告した。

 本部長の定例会見は、毎日新聞を含む新聞やテレビなど報道機関15社が加盟する「県警記者クラブ」の主催で毎月1回開かれ、刑事部長らも出席する。無罪確定後、会見は17日が初めて。クラブ側は7日、大津地裁が3月31日の再審判決で、取り調べをした刑事が西山さんの恋愛感情を利用して「自白」を誘導したり、飲食を提供したりするなど捜査手法に問題があったと認定したことに対する見解や、西山さんへの謝罪、再発防止策などに関する質問を事前に伝えた。

 これに対し、県警広報官室は「個別案件は答えられない」と質問案を拒否。加盟社の意見をとりまとめる幹事社が理由を文書で答えるよう求めたが、県警は4月16日、「文書にする必要がない」として回答を拒んだ。

 再審判決は、西山さんの自白の任意性を否定し「患者が殺害されたという事件性すら証明されていない」と指摘。大西直樹裁判長は説諭で「警察、検察、弁護士、裁判官を含め全ての関係者が自分のこととして、西山さんの(逮捕からの)15年を決して無駄にしてはならない」と述べていた。

 県警は当日、刑事企画課幹部が報道陣の取材に「無罪判決については真摯(しんし)に受け止め、今後の捜査に生かしてまいりたい」とのコメントを繰り返すにとどまった。

 弁護団長を務めた井戸謙一弁護士は「権威ある裁判所から具体的に捜査の不当性を指摘された。どのように改善していくのかを県民に説明するのは警察の義務で、極めて不誠実な対応だ」と話した。



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 滝沢依子(51)氏は広島県出身。東大法学部卒業後、1992(平成4)年4月に警察庁に採用され、茨城県警捜査2課長や警察庁少年課長などを歴任し、2019年8月から警察大学校教務部長。2019年12月25日付で滋賀県警本部長。女性本部長は近畿2府4県では初めてで、全国では5人目。



再審無罪の湖東病院患者死亡、滋賀県警が質問一切拒否 17日の本部長会見、記者クラブに通告(2020年4月16日配信『京都新聞』)

 入院患者を死亡させたとして滋賀県警に2004年に逮捕され、殺人罪で懲役12年の判決を受け服役した元看護助手西山美香さん(40)が3月、大津地裁でのやり直し裁判(再審)で無罪判決を受けた湖東記念病院患者死亡事案について、県警は15日までに、17日に予定される本部長定例会見で、一切の質問を受け付けないと記者クラブ側に通告した。

 クラブ側は、県警の滝澤依子本部長らに3月31日の判決当日に会見するよう要請したが、県警は応じなかった。今月2日の無罪確定後も、県警は西山さんに謝罪せず、滝澤本部長が見解を示す場も設けていない。

 県警の定例会見は、新聞社やテレビ局など15社が加盟する「県警記者クラブ」が主催し、毎月1度行われる。本部長らが出席し、県警の施策などを説明し、クラブ幹事社が代表で質問する。内容は幹事社が加盟社の意見を取りまとめ、回答準備のため事前に総務課広報官室に通告する。

 17日は無罪確定後、初の本部長会見。幹事社は7日に西山さんへの謝罪や、取り調べ担当の刑事への恋愛感情を利用して「自白」を誘導するなどした捜査手法、再発防止策についてただすことを通告した。しかし、同室は「会見では個別事案についてコメントしない。すでに刑事企画課が対応している」と拒否。代表質問を別のテーマにするよう求め、施策への関連質問以外は受けないとした。
 県警は判決当日、刑企課の担当者が囲み取材で「無罪判決については真摯に受け止め、今後の捜査に生かしたい」などと繰り返すだけだった。

 再審判決で大津地裁は、患者の死亡はそもそも事件性がなく、西山さんの自白も不当な捜査で引き出された疑いがあるとした。大西直樹裁判長は説諭で「問われるべきは捜査手続きの在り方。虚偽の自白を誘導した取り調べや客観証拠の検討、証拠開示の一つでも適切に行われていれば、このようなことは起こらなかった」とし、「警察、検察官、裁判官らが人ごととして受け流すのではなく、刑事司法の改善につなげることが大切だ」と指摘した。

■トップが正面から説明を

 村岡啓一白鴎大教授(刑事訴訟法)の話 公的機関が会見の質問に制約を設けるのはおかしい。密室で「供述弱者」から強引に自白させた点など、裁判所からの指摘に真摯(しんし)に向き合い、捜査機関としてどう受け止めるか伝えるべきで、組織のトップの考えを正面から説明すべきだ。重要な捜査資料を開示しなかったり、虚偽の自白を生んだりした日本の刑事司法制度の課題にまで言及した裁判所の投げ掛けに、捜査を担った滋賀県警は公の場できちんと答える義務がある。

■知る権利を軽視する姿勢


 西土彰一郎成城大教授(メディア法)の話 滋賀県警は記者クラブを住民向けの「広報機関」としか見ていないのではないか。「都合の良い質問」しか受け付けないという県警の態度は、国民の知る権利や報道の自由を軽視した姿勢の表れだ。記者クラブにはいろいろと批判もあるが、主権者が適切な判断ができるよう、国民の知る権利に答えるために質問するのが仕事。権力側が隠したいと思う事実を明るみに出すため、個々の記者が連帯し、対峙(たいじ)してほしい。




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