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コロナ差別 中傷や脅迫 「感染したんだって?」「生物兵器かよ」 陰性でも偏見(2020年4月20日配信『北海道新聞』)

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千田忠さんがクルーズ船を下りる時に厚生労働省から渡された紙。感染予防の説明だけで、不安やストレスに関する記述はなかった

 新型コロナウイルスの感染者や関係者が偏見や誹謗(ひぼう)中傷にさらされている。道内で感染した男性は知らぬ間に感染の事実を広められ、集団感染が起きたクルーズ船の道内の乗客も陰性確認後も周囲の無理解に苦しむ。学生らの集団感染が起きた京都産業大(京都市)では関係者への脅迫もあるという。専門家は「感染への不安から、社会の寛容性が失われつつある」と警鐘を鳴らす。

 「人間の嫌な部分がはっきり見える。本当に疲れる」

 道内で新型ウイルスに感染した40代男性は、発症から退院後までの思いを、日記にこうつづっていた。

 男性は3月下旬、ひどいせきに襲われた。微熱も出たためすぐ病院に行き、PCR検査で陽性と判明。ただ症状は軽く、1週間ほどで陰性に。保健所職員に何度も行動歴について説明したが、結局どこで感染したか分からないまま退院した。

■正直に話せない

 「感染」は何も伝えていないはずの知人に、あっという間に広がっていた。「おまえコロナかかったんだって?」「感染したならお大事に」…。電話や会員制交流サイト(SNS)で次々と連絡が来た。「出歩いて大丈夫なのか」などととがめるように言う人もいた。

 男性は「まるでウイルスをまき散らしているように言われる」と憤る。「感染者が差別されれば、被害が怖くて正直に話さなくなる。本当に恐ろしいのは、それで感染が広がることだ」

 集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船した札幌市中央区の元大学教授千田忠さん(77)も、2週間の船内隔離後のPCR検査が陰性だったにもかかわらず、偏見にさらされたという。

 2月中旬に下船し、自宅マンションに戻った後、管理人から「他の住人が『外に出て大丈夫か』と不安がっている」と言われた。検査結果は陰性で必要な時以外は外出もしないと伝え、今も他の住人と同じエレベーターには乗らない。かかりつけの病院からは、電話で「持病の薬は郵送します」と暗に来院を断られた。

 「そんな気持ちは、当然かもしれない」と理解を示す千田さんだが、こう切望する。「感染が疑われた人や回復した人が精神的な健康を保つために、差別や偏見を感じた時に相談できる窓口があれば」

■不安から攻撃か

 30人以上の集団感染が起きた京都産業大では、最初に学生7人の感染が確認された3月29日以降、大学や関係者への誹謗中傷や脅迫の電話、メールが相次いだ。「殺す」「この時期に海外旅行なんて生物兵器かよ」。1週間で700件を超え、今も続く。学生は欧州への卒業旅行で感染したとみられるが、出国時に外務省の渡航自粛要請は出ていなかった。

 「感染した学生の住所を教えろ」と求める電話もあり、担当者が断ると「大学に火をつける」と脅されたという。インターネット上では感染した学生や自宅の写真がさらされ、内定先の企業にまで抗議電話がかけられた。

 同大には道内出身者も100人近く在籍。北海道にゆかりのある同大関係者は「京産大生だという理由だけで忌避されている。誹謗中傷が感染拡大防止につながると思えない」と嘆く。

 札幌大の酒井春樹名誉教授(社会心理学)は「不安から、感染者や周囲を『危険なもの』として攻撃し自分は安全だと思いたい心理が働く」と指摘。「いつ自分が同じ立場になるか分からない。攻撃は社会不安を高め、将来の自分も危険にさらす可能性があると、気付いてほしい」と話す。




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