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外出自粛中のDV 見過ごさず丁寧に対処を(2020年4月23日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための外出自粛が、家庭内での配偶者らによる暴力(DV)や児童虐待の増加を招くのでは、との懸念が高まっている。先行きへの不安などからストレスを高めた加害者が、被害者と長期にわたって同じ家の中で過ごすことになるためだ。

 家庭内のトラブルは、外部の人と接する機会が減れば減るほど分かりにくくなる。助けも求めづらくなる。外出自粛を、DVや虐待の温床としてはならない。関係機関も被害を見過ごすことがないよう、これまで以上に丁寧に対処してもらいたい。

 DV被害者を支援するNPO法人「全国女性シェルターネット」は3月末、国に対し、相談窓口や一時保護施設の拡充を要望した。「在宅ワークの夫が家族に暴力を振るうようになった」「ずっと家にいる夫に監視され、DVから避難できない」といった相談が数多く寄せられているためだ。

 このNPOは阪神大震災や東日本大震災の経験を踏まえ、「DVや虐待は、通常の社会生活が崩れると増えやすい」と指摘する。さらにコロナ禍では、加害者が家庭内に居続けるというリスクも生じる。被害者の保護を担う機関は、震災時より高い危険性を想定しておく必要がある。現金給付などの支援では、暴力を振るう家族から逃げている被害者にも確実に届く仕組みを整えるべきだ。

 日本より厳しい外出制限が適用されている海外では、既に深刻な事態が起きている。

 国連の報告書などによると、フランスでは3月17日に外出制限を適用して以降、DVの通報件数が30%増加。電話などによる相談もキプロスで30%、シンガポールでも33%増えた。新型コロナ対応で医療機関の人手が足りず、性暴力に遭っても必要な処置を受けられないケースや、外に出られないため公共機関に被害を訴えられないケースもあるという。

 国連は新型コロナの陰に隠れたDVの「パンデミック(世界的大流行)」が起きていると警鐘を鳴らしている。日本はこの流行に巻き込まれてはならない。内閣府が新型コロナ対策として体制を拡充したDV相談も、混乱の中で起こり得るあらゆる事態を想定しておくべきだ。

 国内では外出自粛に加え、施設や店舗に休業要請する動きも広がっている。蒲島郁夫知事も21日、県内全域の遊興施設や遊技施設などに休業を要請。飲食店にも営業時間の短縮を求めた。

 協力金支給など一定の支援があるとはいえ、休業や営業時間の短縮が経営者や従業員、取引先、その家族らに与える経済的な打撃は計り知れない。廃業や失業に追い込まれれば家にいる時間も長くなり、展望が見通せなければストレスも増大する。

 休業要請だけして実のあるフォローがなければ、混乱は必至だ。政府や都道府県には、こうした危険性があることも念頭に置いて的確な対策を講じてもらいたい。




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Author:gogotamu2019
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