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コロナとDV・虐待 急増の懸念 支援の強化が急務(2020年4月24日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や休校の長期化で、ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待への懸念が強まっている。

 より厳しい外出制限が敷かれた欧州やアジアでは、DVが3割増加したとの報告もあり、国連はDVの「パンデミック(世界的大流行)」が起きていると警鐘を鳴らす。日本でも同様の傾向が出始めており、被害を広げないための対策が急務だ。

 政府の緊急事態宣言を受け、企業の間では在宅勤務が急速に進んでいる。配偶者や交際相手が自宅にいる時間が長くなり、先行きの不安や収入減といったストレスで衝突が増えているとみられる。被害者が常に監視され、逃げ場を失う状況も生まれている。

 中国では、支援団体が対応したDV事案が倍増した地域があり、夫の暴力に耐えかねた女性の自殺者も出ている。米国ではDVに関する通報の増加で保護施設が満員となり、被害者が受け入れを断られるケースが相次いでいる。新型コロナ対応で医療機関が忙殺され、性暴力に遭っても必要な措置を受けられない事例もあるという。

 日本でも、感染防止のため一部で面談が中止となり、支援団体は、電話だけでは十分に対応できないと危機感を募らせる。加害者に見張られて電話ができず、連絡が途絶えた人もいるという。密室で暴力から逃れられず、危険な状態に置かれている被害者が増えている可能性があり、対策は一刻を争う。

 国は通話無料の電話相談窓口を設けるほか、会員制交流サイト(SNS)やメールでの相談もできるようにした。多言語対応の相談も準備を進めている。民間と連携して宿泊場所を確保する方針で、大阪府はホテルをシェルターとして借り上げるとしている。感染防止に留意しつつ人材確保や安全な避難先の確保を急がねばならない。

 政府が全国民向けに一律給付する10万円は、世帯主名義の銀行口座に家族分をまとめて振り込むため、世帯主と別住所で生活する被害者の手元に届かない可能性もある。政府はこの課題に対応する申請方法を検討している。被害者に確実に行き渡る仕組みを整えてもらいたい。

 子どもへの虐待に関しては、従来、異変に気づきやすい教師の目が、休校によって行き届かなくなっていることが心配される。実際、米国では虐待の通報が半減しているところもある。苦しんでいる子どもを取り残さぬよう、見守りを強化する必要がある。

 感染防止を徹底した上で、学校が家庭訪問などを通じて子どもの様子を聞き取ることも有効だろう。子ども食堂といった地域のつながりを活用することも想定される。DVや児童虐待は通常の社会生活が崩れると起きやすい。新型コロナによる新たな犠牲者を出さないよう、政府や自治体、地域社会全体で弱者を守っていかねばならない。



DV被害者を取り残さない(2020年4月24日配信『琉球新報』-「金口木舌」)

 リーマン・ショック後の2009年、政府は国民一人当たり1万2千円の「定額給付金」を支給した。しかし横浜地裁には給付差し止めを求める仮処分が申し立てられた。申し立てたのは、夫のドメスティックバイオレンス(DV)被害から逃れるため住民票と違う場所で暮らす女性だった

▼給付金を世帯主が受け取ることになっていたため、女性たちは受け取れない状況だった。弁護団は「給付金の趣旨である『生活支援』が最も必要としている人に届かなくなっている」と訴えた

▼同じ境遇の女性は全国におり、各地の自治体は被害者も給付金と同額を受け取れるよう対策を取った。横浜地裁への申し立ても、被害者が同額を受給する見通しが立ち取り下げられた

▼新型コロナウイルスの緊急経済対策で実施される一律10万円の給付でも、同様の事態が懸念されていた。給付金は原則として、世帯主の金融機関の口座に一括で振り込まれるからだ

▼総務省は22日、被害者が避難先の自治体に申し出れば給付金を受け取れることを発表した。ただ受給にはDV防止法による保護命令が出ていることや配偶者暴力相談支援センターの確認書があるなど、要件を満たす必要がある

▼被害者より先に世帯主が受け取ってしまった場合の対応など、課題も残る。政府は困窮者を一人も取り残さないよう制度を整えていくべきだ。




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Author:gogotamu2019
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